マウスピース矯正とは
従来の矯正治療について
従来の矯正治療(ブラケット矯正・ワイヤー矯正)は、ブラケットを1本1本の歯に装着し、全ての歯を繋げるように、ワイヤーを通して、歯を動かします。この矯正装置は固定式となります。 歴史もあり、歯を立体的に動かしていくことに適している優れた治療法ですが、特に表側矯正(ラビアル矯正)では矯正装置を歯の表側に装着する事から、他人に矯正治療中であることがわかりやすいため、日本人の場合にはそのことをネックに思う方もいらっしゃるようです。
(アメリカではそのようなことはない傾向にあります)これらのことからも、国内では他人にわかりづらい「裏側矯正(リンガル矯正)」や、目立ちにくい「マウスピース矯正」を希望される方が増えてきている傾向にあります。
マウスピースとは
Wikipediaよりの抜粋ですが、
マウスピースは、口の内部に装着することでスポーツによる衝撃から歯及びその周囲組織を守り外傷を防ぐ装着物。ボクシングなどの格闘技、あるいはラグビーやアメリカンフットボールなど激しい衝突を伴うコンタクトスポーツで使用する。野球、バスケットボール、サッカーなどでも使用されることがあるほか、スノーボードなどウィンタースポーツでも用いられる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
とあります。このようにマウスピースはお口の中に装着するもののことをいいます。スポーツでは、マウスガードやガムシールドとも呼ばれています。矯正治療で使用するマウスピースとは用途や形状が違うことになりますが、マウスピースとはこのようなものです。
写真は矯正治療用のもので、スポーツなどで歯を守るためのマウスガード窓とは違い、非常に薄くできており、目立ちにくいようにするため、透明に近い特徴があります。
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正では、透明に近いマウスピース型の矯正装置(アライナー = Aligner という)を、歯並び改善の段階に合わせ、その段階に応じて、必要な形状のアライナーに付け替えながら、歯を移動させていきます。
治療完了までに使用するアライナーの数は、患者様の、治療前の歯並びの状態によって、お一人おひとり異なり、それに応じて治療期間も変わってきます。歯を移動させる量は症例に応じて、数ヵ月~1年、中には2年以上かかる症例もありますが、平均1~2年程度となります。
歯はどうして動くのか
歯と、歯を支えるための組織には、「歯根膜」「歯槽骨」などがあります。歯に矯正装置を装着し、弱い力を加える(加え続ける)ことで、歯根(歯の根の部分)に押されることによって、力のかかった側の骨は吸収されて無くなります。逆にその反対側に出来た空間(歯が移動することで広がった空間)には、新しく骨が再生して、歯と歯槽骨の隙間のバランスを保ちます。このプロセスを繰り返すことで、歯は目的の場所まで移動していきます。 下図はブラケット矯正での例ですが、マウスピース矯正においても同じ原理で歯が動きます。
歯の動く速度について
矯正治療では、歯に矯正装置を装着し、弱い力をかけて(かけつづけて)、歯槽骨の吸収と再生をさせるプロセスの繰り返しとなるため、矯正治療・歯列矯正には、それなりの治療期間が必要となります。ちなみに、歯の動く速度は、1ヶ月につき「0.5~1mm」程度といわれています。つまり、矯正治療では、「大きな力を加えて、一気に歯を動かす」などということは出来ないのです。無理な力をかけることは、歯やその周りの組織を痛めてしまうことにもつながってしまいます。矯正治療は、歯槽骨の吸収と再生の速度に合わせて、少しずつ歯を動かしてく治療なのです。